犬の脾臓腫瘍について|高齢の犬に多い病気|茨城県つくば市の『さくま動物病院』

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2024/01/17

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犬の脾臓腫瘍について|高齢の犬に多い病気

脾臓は造血や免疫応答、血液の貯蔵などの様々な役割をもつ器官です。
犬の脾臓腫瘍には良性のものと悪性のものがあり、特に多いのが血管肉腫という悪性腫瘍です。放っておくと腫瘍の破裂による出血で命を落とす危険があります。
しかし破裂を起こさなければ症状を呈さないことが多いため、健康診断や他の疾患の検査で偶発的に発見されることもしばしばです。

今回は犬の脾臓腫瘍について、症状や治療法を解説していきます。

原因

脾臓は造血や免疫に関わる器官なので、リンパ腫・肥満細胞腫・血管肉腫など、それらの細胞に関連する悪性腫瘍が発生します。
また血流が豊富なので、他の臓器にできた腫瘍が脾臓に転移することもあります。これらの腫瘍が発生する原因はよくわかっていませんが、一般的には高齢の大型犬に多いことが知られています。

この中で、特に注意が必要なのは血管肉腫です。この悪性腫瘍は脾臓の病変の約半分を占め、特徴として挙げられるのは、成長速度の速さです。大きく成長すると、気付かぬうちに腹部内で破裂し、緊急対応が必要になる場合があります。
一方で、脾臓には良性の病変も頻繁に見られます。一般的に遭遇する良性病変には、血腫、結節性過形成、脂肪腫などがあります。これらの良性病変は悪性腫瘍に比べて成長速度が遅く、他の臓器への転移のリスクはありません。しかし、大きく成長すると破裂する危険性が伴います

症状

脾臓腫瘍で最も恐ろしい症状は破裂による腹腔内出血です。脾臓は体全体の10~20%の豊富な血液を貯蔵しており、良性・悪性ともに腫瘍が肥大化して破裂すると大出血を起こします
腹腔内出血が起こると、ショック症状を起こし、急速に状態が悪くなってしまいます。歯茎や結膜が白い、腹部膨満、呼吸が乱れて元気がないなどの症状があるときはすぐに動物病院へ連れていきましょう

診断方法

超音波検査やレントゲン検査、CT検査などの画像検査を行い診断します。また血液検査で全身状態の把握を行い、特に貧血を起こしていないかを確認します。
ただし、画像診断だけでは腫瘍が良性か悪性かの判断はつかないため、摘出後に専門機関での病理検査が必要となります。

治療方法

基本的には脾臓を全摘出します。脾臓は摘出しても肝臓や全身のリンパ節がその役割を補ってくれるため、術後に大きな問題は起きないことが知られています。
しかし脾臓は免疫系において重要な役割を担っているため、高齢犬やもともと免疫不全傾向のある犬では術後の感染に注意しなければなりません。
また、腫瘍が悪性の場合は術後に抗がん剤治療を組み合わせることもあります。

予防法や家庭での注意点

脾臓腫瘍の発生は事前に予防できません。体の外からは脾臓腫瘍ができていることはわからず、特異的な症状もないため、定期的な健康診断でお腹のエコーやレントゲン写真を確認するようにしましょう。

まとめ

脾臓腫瘍は出血を起こすと急速に命に関わる事態になるため、症状が出る前に発見することが大切です。特に高齢犬に多いので、7〜8歳からは健康診断に腹部エコーを加えることをオススメします。


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