愛犬の皮膚にしこりがある!そんな時、飼い主様は悪いものかと不安になってしまいますよね。
今回は、犬の皮膚にできるしこりである、皮膚組織球腫について解説いたします。
特徴
犬の皮膚腫瘍として比較的発生率が高い良性腫瘍ですが、他の腫瘍と異なり、高率に自然退縮することが特徴です。
どの年齢の犬でも見られますが、特に3歳未満の若齢犬に多く発症します。また、ボクサー、ダックスフンドで好発すると報告されています。
症状と治療方法
皮膚組織球腫は、頭部(特に耳介や口唇部)、四肢に多く発生します。
典型的に、しこりの表面は脱毛し、赤色でドーム状に膨隆します。周囲との境界が明瞭で、単発性の病変として認められます。急速に成長しますが、3㎝を超えることはほとんどありません。また、痛みや痒みなどの症状を伴うことはまれです。
しこりはドーム状で成長が早く、1~4週間程度で成長します。そして、発症後1~3ヵ月以内に自然に退縮します。大多数は3ヵ月以内に退縮するため、無治療で経過観察を選択することが多いです。
しかし、3ヶ月を超えて退縮せずに残っている病変、自潰や感染などを起こしている病変、痒みなどの不快感がある病変に対しては、確定診断を兼ねた外科手術が選択されます。
自然退縮を待たずに、より早期の手術を行うことも可能です。
診断方法
しこりに針を刺して細胞を顕微鏡で観察します(細胞診)。または、外科手術で切除したしこりを検査します(病理診断)。
皮膚組織球腫は予後が良好な良性の腫瘍ですが、皮膚に発生する他の腫瘍との鑑別が重要です。皮膚には、肥満細胞腫やメラノーマ、リンパ腫などの悪性腫瘍が発生することもあります。
また、組織球腫の特徴をもつしこりが多発する場合には、別の疾患も疑われます。
皮膚にしこりをみつけたときには、見た目だけで判断せずに、獣医師の診察を受けましょう
予防法や飼い主様が気をつけるべき点
皮膚にできるしこりは、皮膚組織球腫の他にも悪性のものもあります。自己判断は避け、必ず動物病院に相談しましょう。
また、日頃からスキンシップを行い、愛犬や愛猫に異変がないか気を配りましょう。
何かお困りの際は当院までご相談ください。
茨城県つくば市・牛久市・土浦市を中心に動物診療を行う
さくま動物病院