犬と猫の肥満細胞腫について|皮膚のしこりに気をつけて!|茨城県つくば市の『さくま動物病院』

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2023/11/06

わんちゃん,猫ちゃん,スタッフブログ

犬と猫の肥満細胞腫について|皮膚のしこりに気をつけて!

犬や猫の皮膚にしこりがあることに気づいたことはありませんか?
そのしこり、実は肥満細胞腫という悪性の腫瘍かもしれません。

今回は犬と猫の肥満細胞腫について詳しく解説します。

肥満細胞腫とは

肥満細胞腫は特に中高年の犬で多く発生し、犬の皮膚腫瘍の中では最も発生頻度が高い (約20%程度) 腫瘍です。

猫においては、線維肉腫や扁平上皮癌といった悪性腫瘍に次いで多く発生し、皮膚腫瘍の約7〜20%を占めます。

猫では、肥満細胞腫になる明確な原因は分かっていませんが、犬ではKITという遺伝子の変異が生じることにより起きると考えられています。しかし、猫の肥満細胞腫も約60〜70%がこのKITの変異によるものと言われています。


症状

肥満細胞腫は皮膚にしこりができる皮膚型肥満細胞腫と、臓器などに腫瘍が発生する内臓型肥満細胞腫の二種類に大別されます。

皮膚型肥満細胞腫
皮膚型肥満細胞腫の多くは飼い主様が皮膚のしこりに気づいたことで来院されます。
発生部位としては、頭部や頸部、耳の周辺が多く、次いで体幹部や四肢と続きます。
皮膚のしこり以外の症状は見られないことがほとんどです。

内臓型肥満細胞腫
内臓型肥満細胞腫は、脾臓や肝臓、腸などに発生し悪性度が高く転移しやすいと言われています。
症状としては活動性の低下や、食欲不振、体重減少、嘔吐、下痢、貧血などの全身症状が見られることがあります。また、犬での発生はかなりまれです。

診断方法

肥満細胞腫の診断は、まずしこりに細い針を刺してしこりを構成する細胞を採取します。
エコー検査などで内臓に腫瘤が見つかった場合も、エコーで腫瘤の位置を確認しながら慎重に針を刺して腫瘤の細胞を回収し、採取した細胞を特殊な液体で染めた後に、顕微鏡を用いて観察します (=細胞診)。
しかし、悪性度や正確なグレードの診断には、病理診断が必要です。

また、内臓型肥満細胞腫の場合転移している可能性があるため、レントゲンやCT、超音波検査を行い他の臓器への転移の有無を確認します

治療方法

肥満細胞腫の治療は、悪性度や転移の有無、腫瘍ができている場所によって異なります。

皮膚型肥満細胞腫
治療の基本は外科手術によって、周囲の正常な皮膚ごと除去することです。

内臓型肥満細胞腫
脾臓に腫瘍ができていた場合、脾臓摘出を行います

また、腫瘍を完全に切除できなかった場合や、リンパ節、皮膚、内臓などに転移していた場合は化学療法 (腫瘍細胞を殺す効果を持つ薬を投与する)や放射線療法を組み合わせて治療を行います。

なお、検査でKIT遺伝子の変異が検出された場合は分子標的薬という特殊な薬を投与することで大きな治療効果が得られる可能性があります。

予防法や飼い主様が気をつけるべき点


残念ながら、肥満細胞腫の効果的な予防法はありません。

飼い主様が普段から愛犬愛猫の、皮膚の状態を確認することで早期発見に繋がる可能性があります。また、定期的な健康診断により全身状態を把握することも重要です。

まとめ

肥満細胞腫は犬や猫で比較的多く発生する腫瘍ですが、早期発見をして腫瘍を完全に切除できれば寿命を全うすることも可能です。

皮膚のしこりに気づいたら様子を見ようとせず、しこりが大きくなる前に獣医師に相談しましょう。


茨城県つくば市・牛久市・土浦市を中心に動物診療を行う

さくま動物病院

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