猫の口や皮膚の異変に気づいていますか?|茨城県つくば市の獣医師が教える見逃せないサイン|茨城県つくば市の『さくま動物病院』

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2025/05/23

猫ちゃん,スタッフブログ

猫の口や皮膚の異変に気づいていますか?|茨城県つくば市の獣医師が教える見逃せないサイン

猫は痛みや不調を隠す習性があるため、見た目には元気そうに見えても、体のどこかに異常を抱えていることがあります。特に口の中や皮膚のトラブルは、外からは目立ちにくく、普段の生活の中では気づきにくいです。

たとえば、最近あまり毛づくろいをしなくなったり、いつもと違う場所をしきりに舐めていたりする様子が見られる場合は、体に痛みや違和感を抱えている可能性があります。また、口の周りを触られるのを嫌がるようになった場合には、口腔内に炎症や歯のトラブルなどが隠れていることもあります。

こうした小さな変化に気づくためには、日頃から愛猫の様子をよく観察することが大切です。

今回は猫の口や皮膚に見られる異常について、それぞれに見られる症状を中心に、受診のタイミングや診察時の準備、治療までの流れなどを詳しく解説します。


口の中に見られる症状

猫の口腔内の異常は、見た目だけでは気づきにくいため、行動の変化から判断するケースも少なくありません。特に以下のような症状が見られた場合は、注意が必要です。

<赤み・しこり・潰瘍が見られる>
唇の一部が赤く腫れていたり、盛り上がっていたりしている場合は、炎症やアレルギー、免疫の異常、口腔内腫瘍が発生している可能性があります。潰瘍が黄色く変色したり、出血を伴っている場合は早めの受診が必要です。

<口臭の悪化>
いつもより強い臭いがする場合は、歯周病や口内炎、口腔内腫瘍の疑いがあります。痛みを伴っている際は、食べ方や食欲にも変化が出ることもあります。


<食欲不振>
硬いフードを避ける、途中で食べるのをやめる、毛づくろいをしなくなるなどの行動は、歯肉炎など口腔内の痛みが原因かもしれません。特に清潔好きな猫が毛づくろいをしなくなった場合は、注意が必要です。


皮膚に見られる症状

猫の皮膚トラブルは、被毛に覆われているため見落とされがちです。そのため、日頃のスキンシップやグルーミングの際に異変に気づくこともあります。特に以下のような症状が見られる場合は、注意が必要です。

<しこり・発疹・脱毛が見られる>
皮膚が盛り上がってしこりのようになっていたり、赤みやかさぶた、脱毛が見られたりする場合は、感染症や炎症、アレルギー、皮膚腫瘍の可能性があります。


<下腹部・内股に異常がある>
猫がしきりに舐めている場所が薄くなっていたり、地肌が赤くなっていたりすることがあります。内股は特に舐めやすく、炎症が進行しやすい部位であるため、注意深く観察しましょう。

<引っかき傷・噛み傷がある>
後ろ足で激しく掻いたり、自分で皮膚を噛んでしまったりする行動が見られる場合、かゆみや違和感によるストレスから自傷行為に至っている可能性があります。放置すると、傷口から二次的に感染することもあるため、早めの対応が必要です。

行動の変化から気づく異常のサイン

猫の異変は見た目だけでなく、普段の何気ない行動の中にも表れることがあります。以下のような変化が見られた場合は、体の不調が隠れているサインかもしれません。

<同じ場所をしつこく舐める・噛む>
皮膚や口腔内に違和感がある場合、猫自身がその不快感を和らげようとして、同じ場所をしつこく舐めたり、噛んだりすることがあります。

<性格・生活スタイルの変化>
活発だった猫が急に隠れるようになる、反対に穏やかだった猫が落ち着きをなくすといった変化は、体調不良やストレスが影響している可能性があります。

<夜に落ち着きがない・眠れない>
夜間に掻く、舐める、歩き回るなどの行動が見られる場合、かゆみや痛みが原因となっていることがあります。

いつ獣医師に相談すべきか

すぐに動物病院を受診したほうが良い症状としては、以下のようなものが挙げられます。

・出血を伴う傷
・急に大きくなってきたしこり
・激しい脱毛や、掻き壊している

これらの症状は、進行性の病気が隠れている可能性があり、放っておくと状態が悪化してしまう恐れがあります。

また、一見すると軽い赤みや、少し舐めているだけのような症状でも、数日たっても改善しない、あるいは悪化してきた場合には、早めに動物病院に相談することが大切です。「いつもと何か違う」と感じたら、迷わず受診を検討してください。

さらに、こうした症状は一時的に軽くなる場合もあるため、異変に気づいた際にはスマートフォンなどで写真を撮って記録しておくことをおすすめします。診察時にその記録を獣医師が確認することで、より正確な診断につながります。

診断から治療までの流れ

診察を受ける際には、「症状がいつ頃から現れたのか」「どのように変化してきたのか」をできるだけ具体的に伝えることが大切です。その際、前述したように、症状の様子を写真や動画で記録しておくと、診断がスムーズです。

診断後、原因に応じて以下のような治療を実施します。

細菌感染の場合:抗生物質を使用します。
アレルギーが関与している場合:抗炎症薬や食事療法が行われます。
皮膚に炎症がある場合:外用薬が処方されます。

いずれの場合も、早期に適切な治療を始めることで、症状の改善が期待できます。

ただし、症状が少し落ち着いたからといって、ご自身の判断で治療を中断してしまうと、再発のリスクが高まります。完治までには時間がかかる場合もあるため、獣医師の指示に従って、継続的に経過を観察することが大切です。

再発を防ぐための生活環境の見直しポイント

ご自宅では、以下のような工夫をすることで、症状の再発予防やコントロールに役立ちます。

・アレルギーの原因となるハウスダストや花粉を避けるため、こまめに掃除をする
・ストレスを軽減するために、静かで落ち着いた生活空間を整える
・体質や症状に合ったフードに切り替える

これらを日常生活に取り入れることで、治療とあわせてよりよい状態を保ちやすくなります。

当院では、こうした生活環境の整え方についても丁寧にアドバイスを行っております。気になることがあればお気軽にご相談ください。


まとめ

猫の口や皮膚に現れる異変は、飼い主様が日常の中で気づける大切なサインです。とはいえ、猫は不調を隠す習性があるため、見た目では分かりにくく、ほんの小さな変化が病気の始まりであることも少なくありません。

そのため、「これくらい大丈夫かな」と放置するのではなく、少しでもいつもと違うと感じた際は、早めに動物病院へ相談することが大切です。

実際に、「なんとなく様子がおかしい」という飼い主様の直感が、病気の早期発見につながるケースもあります。大切な家族である愛猫の健康を守るために、日々のちょっとした変化にも気を配ってあげましょう。


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