犬と猫の乳腺腫瘍とは?しこりに気づいたときに知っておきたいこと|茨城県つくば市の『さくま動物病院』

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2026/01/15

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犬と猫の乳腺腫瘍とは?しこりに気づいたときに知っておきたいこと

愛犬や愛猫の「お腹にしこりのようなものを触った」「乳首のまわりが腫れている気がする」と感じたことはありませんか?

それはもしかすると、犬や猫にみられる乳腺腫瘍のサインかもしれません。特に高齢の雌の犬や猫では発生頻度が高いため、早期に発見して治療を行うことが重要です。

今回は、犬や猫の乳腺腫瘍の特徴から原因、症状、治療方法、予防法などを解説します。

犬と猫の乳腺腫瘍とは?

乳腺腫瘍とは、乳腺に発生する腫瘍の総称で、主に避妊していない雌の犬や猫に多く見られます犬では約50%、猫では90%程度が悪性とされ、特に猫では非常に進行が早く、転移しやすい特徴があります。

また、乳腺腫瘍は放置すると、肺や肝臓などの臓器に転移することがあり、命に関わるケースもあるため、早期発見と早期治療が鍵となります。

原因

乳腺腫瘍の明確な原因は解明されていませんが、ホルモン(特にエストロゲンとプロゲステロン)の影響が深く関わっていると考えられています。そのため、避妊手術の有無や実施時期が乳腺腫瘍の発生リスクに大きく影響します。

なお、避妊手術のタイミングによる発生率の違いは、以下の通りです。

初回発情前に避妊手術を実施した場合約0.5%まで発生リスクが低下
2回目の発情前に実施した場合発生率は約8%程度に抑えられる
2回目以降の発情後に実施した場合:発生率の抑制効果はほとんどない

このように、できるだけ早期に避妊手術を行うことで、乳腺腫瘍の予防につながる可能性があります。

症状

初期の乳腺腫瘍は、乳腺周辺に触れる小さなしこりとして見つかることが多いです。しこりは柔らかいものから硬いものまでさまざまで、大きさや形も一定ではありません。

腫瘍が進行すると以下のような症状がみられるようになります。

・腫瘍が破れて膿が出る(自壊)
・食欲や元気の低下
・腫瘍が大きくなって出血する
・肺に転移することによる咳、呼吸困難、胸水の貯留

さらに進行すると全身に影響が及ぶ可能性があるため、早めの受診が大切です。なお、動物病院を受診する際の目安としては、以下のような症状が挙げられます。

・しこりが急に大きくなってきた
・触ると痛がる
・皮膚が破れて膿や血が出ている
・呼吸が浅くなった、咳が増えた
・食欲や元気が急に低下した

診断方法

乳腺腫瘍の診断は、以下のような検査を組み合わせて行います。

触診:乳腺のしこりや腫瘤の有無を確認
レントゲン検査:肺などへの転移がないかを確認
超音波検査:乳腺内や腹部臓器への転移の可能性を確認
針生検(細胞診):腫瘍の性質を確認
病理組織検査:切除した腫瘍を詳しく調べ、最終的な診断を確定

特に病理組織検査は、腫瘍の悪性度や種類を正確に把握するうえで非常に重要です。

治療方法

乳腺腫瘍の治療の基本は、外科手術による腫瘍の摘出です。腫瘍の大きさや数、悪性度のリスクによって切除範囲が異なり、以下のような方法が取られます。

・腫瘍のみの摘出(腫瘤切除)
・乳腺の一部をまとめて切除(単一乳腺切除)
・片側全体、または両側の乳腺を切除(片側全摘/両側全摘)

特に猫では悪性腫瘍が多く、両側の乳腺を全て切除することが推奨される場合もあります。

なお、術後は通常2〜5日程度の入院が必要です。術後の経過や合併症のリスクによっては、さらに長期間の管理が求められることもあります。

また、腫瘍の悪性度や転移の状況によっては、抗がん剤による補助治療が行われる場合もあります。特に全身転移のリスクがある場合や、手術で取り切れなかった場合には、抗がん剤治療が予後の改善に役立つことがあります。

予防方法

乳腺腫瘍の最も効果的な予防法は、前述したように適切な時期に避妊手術を行うことです。特に初回発情前の避妊手術は乳腺腫瘍の発生率を大幅に下げることが報告されています。そのため、繁殖を予定していない場合は、早期に避妊手術を検討するようにしましょう。

さらに、避妊手術だけでなく、日頃からの健康管理もとても大切です。飼い主様が普段から犬や猫の体にやさしく触れて観察することで、わずかな変化にもいち早く気づくことができます。

なお、特に観察すべき部分は以下の通りです。

・お腹を優しくなでながら乳腺を触る
・左右対称にしこりがないかチェック
・乳首のまわりに赤みや腫れがないかをチェック

こうしたチェックを、月に1〜2回程度スキンシップを兼ねて行うことで、早期発見につながります。

乳腺腫瘍についてよくあるご質問

Q:乳腺腫瘍は避妊手術をしていれば絶対に防げますか?

A:避妊手術によって乳腺腫瘍の発生リスクは大幅に減少しますが、完全に防げるわけではありません。そのため、避妊手術をした後も定期的なチェックが必要です。

Q:雄の犬や猫にも乳腺腫瘍はできますか?

A:非常に稀ではありますが、雄にも乳腺腫瘍が発生することがあります。ただし、発生頻度は雌に比べて著しく低いです。

Q:手術しないで放置するとどうなりますか?

A:放置すると腫瘍が大きくなり、自壊や転移のリスクが高まります。特に悪性腫瘍の場合は命に関わる可能性があるため、早期の治療が必要です。

Q:治療費はどれくらいかかりますか?

A:治療費は手術内容や施設によって異なりますが、数万円〜数十万円程度が一般的です。診察時に獣医師へご相談ください。

まとめ

乳腺腫瘍は、早い段階で発見することで治療の選択肢が広がり、良好な経過が期待できます。

日頃からスキンシップを通して犬や猫のお腹まわりを丁寧に触れておくことが、早期発見への第一歩となります。もし気になるしこりを見つけた場合には、自己判断せず、速やかに動物病院を受診するようにしましょう。

当院では乳腺腫瘍の診断から外科手術、術後のケア、再発予防までトータルでサポートしております。気になる症状がある場合や、避妊手術のタイミングでお悩みの際は、お気軽にご相談ください。


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