犬と猫の乳腺腫瘍とは?│原因や症状、診断、治療方法を解説|茨城県つくば市の『さくま動物病院』

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2023/06/21

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犬と猫の乳腺腫瘍とは?│原因や症状、診断、治療方法を解説

犬と猫の乳腺腫瘍は、雌犬や雌猫によくみられる皮膚腫瘍です。
犬の場合の悪性度は50%、猫の場合は90%程度と非常に悪性度が高いのが特徴的です。
本記事では、犬と猫の乳腺腫瘍の原因や症状、診断、治療方法について詳しく解説していきます。

犬と猫の乳腺腫瘍の原因

乳腺腫瘍の原因は、明確にはわかっていません。

しかし、初回発情や2回目の発情前に避妊手術を行うことで乳腺腫瘍の発生率は低くなることが知られており、性ホルモンが関与していると考えられています。

犬と猫の乳腺腫瘍の症状

乳腺腫瘍の初期症状としては、乳腺付近にしこり、腫瘤ができることが挙げられます

症状が進行すると、乳腺腫瘍が自壊し膿んだり、体の様々な臓器に転移したりします。

特に肺転移を起こすと、肺炎や胸水貯留を引き起こし、呼吸器症状がみられることがあるため、転移前の早めの治療が必要です。

犬と猫の乳腺腫瘍の診断方法

犬と猫の乳腺腫瘍の診断方法としては以下のようなもの挙げられます。

・触診
・レントゲン検査
・超音波検査
・針生検による細胞診
・病理組織検査

乳腺腫瘍では、触診を行い乳腺周辺にしこり・腫瘤がないか確認します。
レントゲン検査や超音波検査により、転移の有無を確認することも大切です。
確定診断は、外科的に切除した腫瘤を病理組織検査することにより行います。

犬と猫の乳腺腫瘍の治療方法

乳腺腫瘍の治療方法では、外科的切除が第一選択です。

外科的切除では、腫瘤の大きさや数、悪性の疑いから、摘出する乳腺の数を決定します

猫のように乳腺腫瘍の悪性度が高い場合には、全ての乳腺を切除することもあります

また、同時に子宮卵巣摘出術を行うことで、乳腺腫瘍などホルモン性の疾患の発生抑制が期待できます。

術後は悪性度や転移の程度に合わせて、抗がん剤などの使用が適応される場合があります。

犬と猫の乳腺腫瘍の予防方法

乳腺腫瘍は、初回発情もしくは、2回目の発情前までに避妊手術を行うことで、発生率が下がるという報告があります。

子供を産むことを想定していないのであれば、避妊手術を行うようにしましょう。
また、定期的に腹部を触診し、しこり・腫瘤ができていないかどうかをチェックしてください

乳腺腫瘍は進行すると、転移を起こしたり、自壊したりすることがあるため、早期発見・早期治療を行うようにしましょう。


まとめ

本記事では、犬と猫の乳腺腫瘍の原因や症状、診断方法、治療方法について解説しました。

犬と猫の乳腺腫瘍は、外科的切除の後、病理組織学的検査にて確定診断できます。
乳腺腫瘍は、定期的な腹部触診により、早期発見が可能です。

飼い主さんは普段から、スキンシップを行い、体に何かしこりや腫瘤ができていないかどうか確認するようにしてください。
もし、しこりや腫瘍かなと思ったら早めに動物病院を受診しましょう。

茨城県つくば市を中心に犬・猫の診療を行う
さくま動物病院

〈参考文献〉
SMALL ANIMAL SURGERY 第3版 p821