「健康診断で腎臓の数値が高いと言われた」
「元気も食欲もあるのに、本当に腎臓病なの?」
「すぐに治療や食事の変更が必要?」
健康診断の結果を見て、このように不安になる飼い主様もいらっしゃるのではないでしょうか。
猫は腎臓の病気が比較的多く、特に年齢を重ねるにつれて慢性腎臓病がみられやすくなります。一方で、血液検査で腎臓に関連する数値が高かったからといって、その結果だけで慢性腎臓病と判断できるわけではありません。脱水や食事などの影響を受ける場合もあるためです。
どの項目がどの程度変化しているのかを確認し、必要に応じて再検査を行うことが大切です。さらに、尿検査や普段の飲水量、排尿の様子なども含めて総合的に評価します。
今回は、猫の健康診断で腎臓の数値が高いと言われた際に知っておきたい検査項目や考えられる原因、再検査の考え方、ご家庭で確認したいポイントについて解説します。
猫の腎臓の数値とは?健康診断で確認する主な項目
健康診断の血液検査では、腎臓の状態を確認するために複数の項目を調べます。代表的なものがBUN(尿素窒素)、CRE(クレアチニン)、SDMAです。
<BUN(尿素窒素)>
BUNは、タンパク質が体内で分解された際に生じる老廃物に関連する数値です。通常は腎臓から尿として排出されるため、腎臓の働きが低下すると血液中の数値が上昇する場合があります。
ただし、脱水や食事、消化管からの出血などによって上昇する場合もあります。そのため、BUNだけで腎臓病の有無を判断するわけではありません。
<CRE(クレアチニン)>
CREは筋肉の代謝によって生じる老廃物で、主に腎臓から排出されます。腎臓のろ過機能が低下すると血液中に蓄積し、数値が高くなる傾向があります。
一方、CREは筋肉量などの影響も受けるため、猫の体格や年齢を考慮して評価する必要があります。
<SDMA(SDMA(対称性ジメチルアルギニン))>
SDMAも腎臓のろ過機能を評価する際に用いられる検査項目です。CREと比べて筋肉量の影響を受けにくいという特徴があり、腎臓の状態を確認するための指標のひとつとして活用されています。
ただし、いずれの数値も単独で判断するのではなく、ほかの検査結果や猫の状態とあわせて確認することが重要です。
腎臓の数値が高い=慢性腎臓病とは限らない
猫の腎臓の数値が高い場合、慢性腎臓病は考えられる病気のひとつです。しかし、1回の健康診断で数値が高かっただけでは、慢性腎臓病と判断できないケースがあります。
例えば、水分不足による脱水があると血液が濃縮され、BUNやCREが一時的に高くなる場合があります。体調不良によって十分に水分を取れていなかった場合にも影響する可能性があります。
さらに、BUNは食事内容や消化管からの出血などでも変動します。CREは筋肉量によって数値に違いが表れるため、猫ごとの体格も考慮しなければなりません。
一方で、急性腎障害や尿路の閉塞など、早めの対応が必要な病気によって数値が上昇しているケースもあります。
このように「数値が高い」という結果だけでは原因を特定できません。現在の体調や過去の検査結果、生活の変化などを含めて確認する必要があります。
再検査では何を確認する?血液検査だけで判断しないことが大切
健康診断で腎臓の数値に異常がみられた場合は、猫の状態に応じて再検査を検討します。
再検査までの期間は、数値の上昇幅や症状の有無、年齢、過去の検査結果などによって異なります。そのため「数か月後でよい」と自己判断せず、獣医師から指定された時期に検査を受けましょう。
再検査では、BUNやCRE、SDMAなどの推移を確認するほか、尿検査が重要な判断材料になります。尿の濃さを調べる尿比重や尿タンパクなどを確認すると、腎臓が尿を濃縮する力や腎臓への負担について判断する手がかりになります。
必要に応じて血圧測定や超音波検査などを組み合わせ、腎臓の状態を詳しく調べる場合もあります。
さらに、1回の数値だけではなく、過去からどのように変化しているかを見ることも大切です。基準範囲内であっても以前より数値が上昇しているケースがあるため、定期的な健康診断によって経過を比較する意味があります。
数値を指摘されたら生活の変化も確認しましょう
腎臓の状態を評価するときには、検査結果だけでなく、ご家庭での様子も大切な情報になります。
特に確認していただきたいのは、飲水量と尿量の変化です。以前より水を飲む量が増えたり、尿の量が多くなったりしていないかを振り返ってみましょう。
そのほかにも、次のような変化がないか確認してください。
・食欲が低下している
・体重が減ってきた
・吐く回数が増えた
・元気がなくなった
・毛づやが悪くなった
こうした変化がみられる場合は、次回の健康診断まで待たず、動物病院へ相談しましょう。
食事についても、検査結果を見てすぐに自己判断で腎臓病用の療法食へ変更するのではなく、まずは獣医師に相談してください。猫の年齢や体格、ほかの病気の有無などによって適した食事は異なります。
シニア猫は定期的な健康診断で数値の推移を確認することが重要
猫の慢性腎臓病では、初期には目立った症状が表れない場合があります。そのため、元気や食欲がある猫でも、健康診断によって変化が見つかるケースがあります。
特にシニア期では、腎臓だけでなくさまざまな体の変化が表れやすくなります。定期的に血液検査や尿検査などを受け、以前の結果と比較することが、体調の変化に気づく手がかりになります。
健康診断の結果で「少し高い」「経過観察」と言われた項目についても、そのままにせず、次にいつ確認するのかを獣医師と相談しておくとよいでしょう。
まとめ
猫の健康診断で腎臓の数値が高いと言われると「慢性腎臓病なのでは」と心配になるかもしれません。しかし、BUNやCRE、SDMAなどの数値は、脱水や体格をはじめとしたさまざまな要因の影響を受けるため、1回の検査結果だけで判断するものではありません。
大切なのは、必要なタイミングで再検査を受け、尿検査なども組み合わせながら数値の推移を確認することです。あわせて、飲水量や尿量、食欲、体重など、ご家庭での変化を獣医師に伝えると診断の手がかりになります。
当院では、検査数値だけを見るのではなく、これまでの検査結果や普段の生活、猫の状態などを確認したうえで、必要な検査や今後の方針をご提案しています。健康診断で腎臓の数値を指摘された場合や、検査結果について気になる点がある場合はご相談ください。
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茨城県つくば市・牛久市・土浦市を中心に動物診療を行う
さくま動物病院






