犬や猫を家族として迎え入れたあと、避妊・去勢手術を受けるべきかどうか悩む飼い主様は多くいらっしゃるのではないでしょうか。
動物病院から避妊・去勢手術を勧められても、愛犬や愛猫の健康な体に傷をつけることに抵抗を感じる方もいると思います。
しかし、避妊・去勢手術を行うことで生殖器の病気やその他の健康問題の予防にも繋がるため、手術をすることは非常に重要です。
今回は犬と猫の避妊・去勢手術について、メリットやデメリット、行うべきタイミングなどを解説します。
犬と猫の避妊・去勢とは
<避妊手術>
メスが受ける手術で、全身麻酔をかけてからおへその下を数センチ切開し、「卵巣」と「子宮」を摘出します。
<去勢手術>
オスが受ける手術で、「陰嚢(猫)」または「陰嚢の少し上の皮膚(犬)」を数センチほど切開します。その後、犬の場合1箇所の切開創から両方の精巣を摘出します。
また、避妊・去勢手術を行うタイミングは、生後6ヶ月頃が適切とされています。
この時期はメス犬が最初の発情期を迎える前であり、早期に手術を行うことで病気や問題行動のリスクを軽減することができます。
避妊・去勢手術を行う理由
避妊・去勢手術は、性ホルモンに関係する病気を予防する効果があります。
オスとメスでは、下記の病気を防ぎ、健康寿命を延ばすことができます。
<避妊手術を受けていないメスがなりやすい病気>
・子宮蓄膿症
・乳腺腫瘍
・卵巣腫瘍 など
<去勢手術を受けていないオスがなりやすい病気>
・精巣腫瘍
・前立腺疾患
・肛門周囲腺腫
・会陰ヘルニア
・精巣炎 など
これらの病気は治療が難しく、愛犬や愛猫が苦痛を伴うだけでなく、飼い主様にも精神的・経済的な負担がかかります。そのため、避妊・去勢手術を行うことで、これらのリスクを大幅に減らすことが可能です。
また、発情期の犬や猫が下記のような行動をとることがあります。
・鳴きやすくなる
・マーキング
・攻撃的になる など
これらの問題行動は、避妊・去勢手術を行うことで軽減または解消することができます。
犬や猫、飼い主様の生活の質を向上させるためにも、これらの手術は非常に有効です。
避妊・去勢手術を行うメリット・デメリット
【避妊手術】
<メリット>
・望まない妊娠・出産を防止
・特定の疾患の予防(乳腺腫瘍、子宮蓄膿症など)
・発情中のストレスの軽減
<デメリット>
・尿失禁
・脱毛
・ホルモンバランスの崩れによる肥満になりやすい
・全身麻酔のリスク
・手術費用が発生する
【去勢手術】
<メリット>
・発情に対してのトラブル(マーキングや攻撃性など)が減少する
・特定の疾患の予防(前立腺疾患、肛門周囲腺腫、会陰ヘルニアなど)
<デメリット>
・手術時の肉体的、精神的ストレス
・ホルモンバランスの崩れによる肥満になりやすい
・全身麻酔のリスク
・手術費用が発生する
避妊・去勢手術後にご家庭で気を付けてほしいこと
避妊・去勢手術後、ホルモンバランスが変わることで下記のような影響が出ます。
<避妊手術を受けたメスの場合>
雌性ホルモンの分泌がなくなることで食欲が増加します。その一方で、ホルモンバランスの変化により必要なカロリーは減少するため、体重が増えやすくなります。
<去勢手術を受けたオスの場合>
雄性ホルモンの分泌がなくなることで筋肉がつきにくくなる一方で、脂肪がつきやすくなります。オスもメス同様に、手術後は必要なカロリーも減少するため肥満になりやすくなります。
愛犬や愛猫が肥満にならないためにも、飼い主様は「食事管理」や「体重管理」をしっかりと行い、肥満を防ぐことが大切です。