「何度もトイレに行くのに、尿の塊が見当たらない」「排尿するときにつらそうに鳴く」。愛猫にこのような様子があると、どうしたらよいか迷いますよね。
猫の排尿トラブルには、膀胱炎や結石症のほか、トイレ環境やストレスが関係するものもあります。ただし、尿道が詰まっておしっこが出ない場合は、命に関わるため早急な対応が必要です。
今回は、猫がトイレに何度も行く原因と受診の目安、ご家庭で見直したい環境について解説します。
おしっこが出ないときは時間を待たずに相談を
まず確認したいのは、トイレに行った回数ではなく、実際に尿が出ているかどうかです。猫砂の塊の数や大きさ、トイレ以外で排尿していないかを確認しましょう。
何度もトイレに行くのに尿が出ない、排尿姿勢のまま力んでいる、痛そうに鳴く場合は、経過時間にかかわらず、すぐに動物病院へ電話でご相談ください。ぐったりしている、吐くといった症状がある場合も、速やかな受診が必要です。
おしっこが出ていない状態が24時間を超える場合は、すぐに動物病院へ連絡し、受診してください。ただし、24時間までは様子を見てよいという意味ではありません。何度も排尿しようとするのに尿が出ない場合は、その時点でご相談ください。
少量でも出ていれば安心とは限りません。血尿や頻繁なトイレ通いが見られるときも、当日中にご相談ください。診療時間外に緊急の症状がある場合は、夜間・救急対応の動物病院へ連絡しましょう。
猫に多い下部尿路疾患とは?膀胱炎・結石症について
下部尿路とは、尿をためる「膀胱」と、尿を体の外へ排出する「尿道」のことです。この部分に起こる病気をまとめて、下部尿路疾患と呼びます。
<膀胱炎>
膀胱に炎症が起こると、何度もトイレに行く、少量ずつ排尿する、血尿が出るといった症状が表れることがあります。
猫では、検査で細菌感染や結石などが確認されない「特発性膀胱炎」も多く見られます。原因は十分に解明されていませんが、ストレスや生活環境との関わりが考えられており、症状を繰り返すこともあります。
そのため、検査で原因を調べるとともに、トイレ環境や日々の過ごし方を見直すことも大切です。
<結石症>
尿に含まれる成分が固まって結石となり、膀胱や尿道を刺激する病気です。血尿や排尿時の痛みにつながり、結石などが尿道に詰まると尿が出なくなります。
結石には複数の種類があり、治療方法も異なります。種類や状態に応じて、獣医師の管理のもとで食事療法を行う場合や、手術などで結石を取り除く場合があります。
トイレ環境やストレスによる排尿の問題
トイレ以外で排尿する行動には、病気以外の要因が関係している場合もあります。砂が好みに合わない、トイレが汚れている、ほかの猫が近くにいて落ち着かないといった理由で、トイレを避けることがあります。
こうした行動は「問題行動」と呼ばれることもありますが、猫がわざと飼い主様を困らせているわけではありません。叱ることで不安が強くなることもあるため、まずは背景を確認しましょう。
ただし、トイレ以外での排尿は膀胱炎などでも見られます。最初からストレスやしつけの問題と判断せず、病気がないかを確認することが先です。また、ストレスは特発性膀胱炎にも関係するため、病気と生活環境の両方に目を向ける必要があります。
診察では尿の状態と生活背景を確認
当院では、尿道が詰まっていないかを確認するとともに、排尿の変化やご家庭での過ごし方を伺い、原因を探ります。
診察の際は、次のような情報をお伝えください。
・最後に普段どおりの排尿を確認した時間
・トイレに行く回数と、尿の量・色の変化
・鳴く、吐く、食欲が落ちるなどの変化
・トイレや砂の変更、引っ越し、新しい猫を迎えたなどの出来事
状態に応じて、尿検査や超音波検査、レントゲン検査、血液検査などを検討します。尿道が詰まっている場合は、尿を排出させる処置や全身状態の管理を優先します。
尿検査や血液検査の結果の見方についてより詳しく知りたい方はこちら
尿が出ていない場合は、ご家庭で尿を採ろうとせず、そのまま受診してください。また、お腹を押して尿を出そうとすることは避けましょう。
排尿の変化を確認するときは、トイレに行く回数だけでなく、尿の量や飲水量にも目を向けることが大切です。少量ずつ何度も排尿する場合は膀胱炎などが考えられますが、水をよく飲み、尿の量も増えている場合は、腎臓病などが関係している可能性があります。
ご家庭で見直したいトイレと生活環境
病気の治療とあわせて、その子が落ち着いて排尿できる環境を整えましょう。
<トイレの数・置き場所>
トイレは「猫の頭数+1個」を目安に用意し、離れた場所に分けて置きます。人の出入りや大きな音が少なく、ほかの猫に行く手を遮られにくい場所を選びましょう。
<砂の種類・清潔さ>
香りや感触の好みは猫によって異なります。砂を変えるときは、今までのトイレも残して反応を確認するとよいでしょう。排泄物はこまめに取り除き、トイレを清潔に保ちましょう。また、トイレは猫が中で体の向きを変えやすい大きさのものを選びましょう。
<多頭飼い・ストレスへの配慮>
猫同士の追いかけ合いや、トイレの近くで待ち伏せする様子がないかを観察しましょう。食事や水飲みの場所、休む場所も分散させ、それぞれが安心して過ごせるようにします。隠れられる場所や遊ぶ時間を用意することも、生活環境を整える工夫のひとつです。
トイレ環境を整えることは大切ですが、尿が出ていない場合は早急な対応が必要です。尿が出ているか分からないときも、まずは動物病院へご相談ください。
まとめ
猫がトイレに何度も行く、おしっこが出ないときは、膀胱炎や結石症などを考える必要があります。特に、何度も排尿しようとするのに尿が出ない、排尿時に痛そうに鳴く、ぐったりする、吐く場合は、すぐに動物病院へ連絡し、受診してください。
当院では、尿の状態だけでなく、トイレ環境やストレスなどの生活背景も含めて確認します。「出ているか分からない」と迷う段階でも、最後に排尿を確認した時間や現在の様子をお電話でお伝えください。
茨城県つくば市・牛久市・土浦市を中心に動物診療を行う
さくま動物病院






